2015年の年末によせて

今年もあとわずかで終わりです。
皆さんにとってどのような一年間だったでしょうか?
今年は、鍼灸マッサージに関してはとても喜べないニュースもありました。業界的全体でみれば一般の方からは不正を行っている業界と思われてしまいかねないニュースでした。

我々はカルテの販売サイト「鍼灸サポート.com」を開設し、 鍼灸マッサージに役立つ情報も提供しようとこのブログを開設しました。

鍼灸サポート.com」はカルテと便利グッズしか扱っておらず、がっかりされた方もいらっしゃるかもしれません。
残念ながら、この商品数は徐々に増えていくことはあっても急激に増えていくことはありません。
それは、はり・きゅう・マッサージを業としているかたに「あったらいいな」と思われるものを地道に提供し、役に立てていただきたいと考えているからです。
派手に広告宣伝をすることもありませんし、鍼などを大量に仕入れて安売りすることもありません。なので、売り上げも微々たるものです。
しかし、販売している商品によって業務効率があがり、患者さんに還元されることで、業界をもっと活気づけたいと考えております。
来年はまた何かしらお役にたてる商品を出していこうと考えています。
「こんなのがあったら便利だな」というアイデアがありましたらぜひお寄せください。

ブログの内容も自分とは考えが違うと思われた方もいらっしゃるかもしれません。おかしなことを書いたかもしれません。
また、至らない点も多くあったかもしれません。
でも、ひとつひとつを積み上げて、よりみなさんに良い情報を提供できたらと考えております。


これからも、皆様のため、業界のため、その先には患者さんのためになればと思っておりますので、来年もご支援いただければ幸いです。
ブログは少々早いお休みをいただきますが、来年もよろしくお願いいたします。
年明けは10日よりブログを再開します。
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国家試験という試される場所~その1~

今年も残すところあと10日です。
クリスマスに大晦日、お正月と、何かとイベント続きなこの時期ですが、受験生にとっては最後の追い込みをかける時期でもありますね。
みなさんも、国家試験受験を控えた学生の頃には参考書や過去問題集とつきっきりに勉強されていたことと思います。

医療系の専門学校で教えている友人との話の中で、最近の国家試験問題は単に知識の暗記だけでは点数が取れないぞ、という話題になりました。

百聞は一見にしかず。

問 デング熱を媒介するものはどれか
  a 蚊
  b 蛾
  c ダニ
  d ゴキブリ

皆様なら正解はお分かりですよね?
これはとある医療系資格の試験で、衛生学分野の問題として今年の3月に出題されました。
衛生学では公衆衛生に関する内容も学びますので、感染症や感染経路に関する内容が出題されてもおかしくはありません。
ただ、ポイントなのは内容そのものではなく、内容と出題時期の関係性です。

日本の一夏を騒がせたデング熱、これは2014年の一大ニュースでした。
それから僅か半年後に、こんなピンポイントで出題されたのには非常に驚きますよね。
さらには、同様の出題がいくつもの国家試験で出題されたというのですから。

この問題を解くポイントは、
① 感染は何かを媒介して起こるという原理を理解していること
② 感染を媒介する主要なものを覚えていること。
大きくはこの2点は外せません。
いわゆる試験対策の得意な学生さんならばこの2点をしっかりと押さえて得点できるでしょう。ですが、ここが国家試験に潜む魔物の怖いところ…
『デング熱』という特定の疾患名が突然出題され、それも自らが学んできた専門分野にあまりなじみのない疾患名だったりすると、受験生は一種のパニックに陥り、答えを導き出せなくなるというのです。

ここで第3のポイントが必要です。
それが、いかに情報のアンテナを張っているか、自らの専門分野以外、特に隣接する分野への興味を持っているか、という視野の広さです。
おそらくこの問題も、試験委員の皆様の気の迷いなどという単純なものではなく、自らの専門分野にとらわれすぎに情報収集して、自らの分野にフィードバックできる力をもっているかどうか、ということを問われているような気がします。

このようなことが国家試験の場でも問われ、国家試験に含められている意味が少々変わり始めたように思います。
次回もそのような事例をご紹介したいと思います。

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インシデント/アクシデントの実例5~インシデントレベル

今回もインシデントレポートのお話しです。
インシデントレポートにおいて分類はどのようなモノでも良いと書きましたが、事故の種類や施術内容などとの関連に関係なく、患者の命や健康を損なうような重大な事態が発生した場合には必ず記録を取った方が良いのは想像にたやすいかと思います。
しかし、どのようにレベル分けすれば良いのでしょうか?
サンプルを掲載してみます。

影響度

レベル 傷害の継続性 傷害の程度 傷害の内容
5 死亡 死亡
4 b 永続的 中程度~高度 障害や後遺症が残り、機能障害や美容上の問題がある
a 永続的 軽度~中程度 事故による障害が永続的に残った場合
3 b一過性 高度 事故のため継続的な治療が必要となった場合
a 一過性 中程度 事故のため一時的な治療が必要となった場合
2 一過性 軽度 事故により患者に変化が生じ、一時的な観察が必要となったり、
安全確認のために検査が必要となったが、治療の必要がなかった場合
1 なし 間違ったことが実施されたが、患者には変化がなかった場合
0 間違ったことが患者に実施される前に気づいた場合


例えばですが、お店の中に小さな段差があったとします。この段差に患者さんがつまづいて頭から壁に突っ込んでケガをしてしまったとしましょう。
医療過誤ではないのは明らかですが、その段差でつまづく人が多かったのに放置していたら、責任を問われる可能性はあります。

多くの場合、レベル3b以上は報告だけでなく、組織として再発防止に取り組むケースが多いです。また、過失による医療事故か医療過誤なのかの判断を行う必要が出てきます。
インシデント、アクシデントを起こさないようにするためには、日々の積み重ねが大切です。

前述の小さな段差の例も「施術に関係ないから」と放置するとアクシデントになってしまう可能性があります。
日々、記録を取って、安全な施術だけでなく安全なお店も目指してくださいね。
安全なお店は患者さんにしてみれば、安心できるお店ですし、細かい点に気を配っているのははたから見ても分かるものですよ。
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インシデント/アクシデントの実例4~インシデントレポートの分類の意味~

今回はインシデントレポートの書き方の詳細編です。
前回はインシデントレポートの概要をザックリと書きましたが、どんな項目があるかだけでしたので、今回から何回かに分けて何のために取得している項目なのかを解説していきます。

目的の整理

前回も書きましたが、インシデントレポートは実は非常に大切な書類です。
自分1人でお店を回していたとしても、インシデントは意外と忘れてしまうものですし、複数人でお店を回していると気づかない失敗も多くあるものです。
ある一定の時に振り返って失敗の傾向を見つけることで、「自分はこういう失敗が多いのだな。」と振り返ったり、「ここではこんなところに気を付けなければいけないのだな。」という反省と対策に使うものです。
なので、レポートの目的はインシデントやアクシデントを減らすこと。ひいては、患者さんの満足度を上げることでもあります。
患者さんの満足度が上がれば、売り上げも上がるでしょうし、良い方向へのサイクルを作るキッカケにもなり得ます。


分類の整理

インシデントレポートの中で一番重要な項目は「分類」です。
前回の内容でいうと
5.インシデントの分類
7.事象の分類
が該当します。

これは、目的で書いた通り、「失敗の傾向を掴む」ために必要なものです。
例えば、インシデントの分類は、
「手技によるもの」なのか、「患者さんの誘導」によるものか、はたまた「アセスメントができていなかった」、もしくは「店内のレイアウトの問題」など、失敗の傾向を掴むために分類を作ります。
お店ごとに傾向は違うでしょうから、自分で好きなような分類を作ってよいのですが、あまり細かくしすぎないことがポイントです。

同じように「事象の分類」では失敗がミスや事故が患者さんにまで影響したか、防止できたか。防止できたのであれば、自分で気付き防止できたか、他の人の気づきで防止できたか、などインシデントの大きさを記載して、影響度をわかりやすくします。

この2つを組み合わせることによって、どんなレベルのどんなミスが頻繁に起きているか、傾向が見やすくなります。
自分のお店でどのようなミスが起きているか把握して、もっと良いお店にしてくださいね。


次回は分類の話をさらに掘り下げて解説していきます。
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インシデント/アクシデントの実例3~インシデントレポート~

今回はインシデントレポートについて書いてみます。
前回までの例はインシデントではなくアクシデントでしたが、レポートの目的である「事故の再発防止」という観点では書く内容は同じなので、前回までの例を使用してみます。
インシデントレポートというと「書くのが面倒臭い」などと思われがちですが、実は非常に大切な書類です。
インシデントレポートが頻繁に書かれるのは好ましい状態ではありませんが、考え方によっては院内の事故を未然に防げた証拠でもあり、これがたまるとノウハウにもなってきます。
たとえば、「院内のトイレに入るときに患者さんがつまずいて転んでしまった。」こんなレポートが数多く出来上がれば、「トイレの段差をなくそう」などと言った対応もできるようになります。

では、インシデントレポートにはどのようなことを書けばよいのでしょうか?例をご紹介します。

登場人物と発生日時の整理

まずは、登場人物とインシデント発生日時を整理しましょう。
1.インシデントの発生日時、発見日時
いつ起きたインシデントかを明確にします。
2.報告者、報告日
誰がいつ報告したかを明確にします。(基本的にはインシデントを発生させた(発見した)人が記載します)
3.施術(治療、処置)担当者、補助者
施術などにかかわった担当者や補助者を明確にします。
4.患者情報(カルテ番号、氏名、性別、生年月日など)
どの患者さんで起こったインシデントかを明確にします。


発生内容の整理

次に何が起こり、どのようにインシデントを知ったかを整理します。
5.インシデントの分類
今回は病院ですが、鍼灸院では「鍼の抜き忘れ」、「鍼刺し事故」、「患者さんの所有物の破損」などの分類を書き、何が起きたかを簡単に分かるようにします。
6.情報源
レポート記載者がその場にいたのか、患者から聞きとった内容なのかを明確にして、情報源を明らかにします。
7.事象の分類
ミスや事故が患者さんにまで影響したか、自分で気付き防止できたか、他の人の気づきで防止できたか、などインシデントの大きさを記載して、影響度をわかりやすくします。
8.発生場所や発生状況
どこで、どのような時に起きたかを記載してインシデントの概要が分かるようにします。
9.処置・対応
発生したインシデントに対して、どのような処置・対応をしたのかを詳細に書き、何をしたかを明確にします。患者がどのような反応をしていたかも書きましょう。


再発防止策とアクシデントになった場合の影響度の整理

最後にインシデントの発生原因や今後の防止策をまとめます。
10.原因と今後の防止策
どうして発生したか、どのようにすれば防げたかを後から読む人が納得できるように記載します。(「あ、こういうことも起きるんだ!」と気づいてもらえるようにします。)
11.その他
インシデントが解決するまでに要した日時や、処置のための医療費負担を誰が行ったかなどの後日の事実関係を明確にして、インシデントがアクシデントになっていた場合の影響度をわかりやすくします。



特に施術者の多い院では当然患者さんも多く、インシデントが発生しやすい状態にあるかもしれません。
カルテを記載することで申し送りなどでインシデントを防ぐだけでなく、インシデントが起きてしまった時にはそれ自体をレポートすることで、反省するだけでなく、予防措置もとれるようにします。
実際は上の項目を表のようにしておくとどんなインシデントが多く発生しているか視覚化しやすいですね。
インシデントは意外と思いもよらぬところで発生するものです。
たまたま表面化したインシデントをレポートにして、レポートを基にスタッフ全員でインシデントの原因、防止策などを話し合い、情報の共有、防止策の徹底を行います。

似たようなことを以前に「医療事故・医療過誤の防止~インシデント報告システム~」でも書きました。
内容は繰り返しになりますが、ぜひ事故防止に役立ててください。

最後に一番大切なことを…
重要なのは「インシデントを起こした人を責めない」ことです。
インシデントを起こしたからと責めてしまうと、「次は自分が責められる」と思って報告が上がらず、インシデントが隠ぺいされてしまいます。むしろ、「ノウハウがたまってよかった」と対応してくださいね。

次回はレポートの内容をもう少し詳しく解説していきます。
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