インシデント/アクシデントの実例3~インシデントレポート~

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今回はインシデントレポートについて書いてみます。
前回までの例はインシデントではなくアクシデントでしたが、レポートの目的である「事故の再発防止」という観点では書く内容は同じなので、前回までの例を使用してみます。
インシデントレポートというと「書くのが面倒臭い」などと思われがちですが、実は非常に大切な書類です。
インシデントレポートが頻繁に書かれるのは好ましい状態ではありませんが、考え方によっては院内の事故を未然に防げた証拠でもあり、これがたまるとノウハウにもなってきます。
たとえば、「院内のトイレに入るときに患者さんがつまずいて転んでしまった。」こんなレポートが数多く出来上がれば、「トイレの段差をなくそう」などと言った対応もできるようになります。

では、インシデントレポートにはどのようなことを書けばよいのでしょうか?例をご紹介します。

登場人物と発生日時の整理

まずは、登場人物とインシデント発生日時を整理しましょう。
1.インシデントの発生日時、発見日時
いつ起きたインシデントかを明確にします。
2.報告者、報告日
誰がいつ報告したかを明確にします。(基本的にはインシデントを発生させた(発見した)人が記載します)
3.施術(治療、処置)担当者、補助者
施術などにかかわった担当者や補助者を明確にします。
4.患者情報(カルテ番号、氏名、性別、生年月日など)
どの患者さんで起こったインシデントかを明確にします。


発生内容の整理

次に何が起こり、どのようにインシデントを知ったかを整理します。
5.インシデントの分類
今回は病院ですが、鍼灸院では「鍼の抜き忘れ」、「鍼刺し事故」、「患者さんの所有物の破損」などの分類を書き、何が起きたかを簡単に分かるようにします。
6.情報源
レポート記載者がその場にいたのか、患者から聞きとった内容なのかを明確にして、情報源を明らかにします。
7.事象の分類
ミスや事故が患者さんにまで影響したか、自分で気付き防止できたか、他の人の気づきで防止できたか、などインシデントの大きさを記載して、影響度をわかりやすくします。
8.発生場所や発生状況
どこで、どのような時に起きたかを記載してインシデントの概要が分かるようにします。
9.処置・対応
発生したインシデントに対して、どのような処置・対応をしたのかを詳細に書き、何をしたかを明確にします。患者がどのような反応をしていたかも書きましょう。


再発防止策とアクシデントになった場合の影響度の整理

最後にインシデントの発生原因や今後の防止策をまとめます。
10.原因と今後の防止策
どうして発生したか、どのようにすれば防げたかを後から読む人が納得できるように記載します。(「あ、こういうことも起きるんだ!」と気づいてもらえるようにします。)
11.その他
インシデントが解決するまでに要した日時や、処置のための医療費負担を誰が行ったかなどの後日の事実関係を明確にして、インシデントがアクシデントになっていた場合の影響度をわかりやすくします。



特に施術者の多い院では当然患者さんも多く、インシデントが発生しやすい状態にあるかもしれません。
カルテを記載することで申し送りなどでインシデントを防ぐだけでなく、インシデントが起きてしまった時にはそれ自体をレポートすることで、反省するだけでなく、予防措置もとれるようにします。
実際は上の項目を表のようにしておくとどんなインシデントが多く発生しているか視覚化しやすいですね。
インシデントは意外と思いもよらぬところで発生するものです。
たまたま表面化したインシデントをレポートにして、レポートを基にスタッフ全員でインシデントの原因、防止策などを話し合い、情報の共有、防止策の徹底を行います。

似たようなことを以前に「医療事故・医療過誤の防止~インシデント報告システム~」でも書きました。
内容は繰り返しになりますが、ぜひ事故防止に役立ててください。

最後に一番大切なことを…
重要なのは「インシデントを起こした人を責めない」ことです。
インシデントを起こしたからと責めてしまうと、「次は自分が責められる」と思って報告が上がらず、インシデントが隠ぺいされてしまいます。むしろ、「ノウハウがたまってよかった」と対応してくださいね。

次回はレポートの内容をもう少し詳しく解説していきます。
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