個人情報

名前すら教えてくれない患者さんの対応

近年、個人情報保護が非常に重要視され、何でもかんでも全て「個人情報」と言われている向きもあるように感じます。
極端な例では患者さんの中には初検時に名前を書くことすら嫌がる方もいるようです。
このような方だと問診票(便宜的に問診票とします)に名前を書くことすら拒否しますので、住所や電話番号、生年月日なども書いてもらえることはないでしょう。
こんな場合、カルテも作ることができませんが、あなたならどうしますか?

リラクゼーション目的の無資格者のお店では名前などを書かないこともあるので、「マッサージはどこでも名前などを明かさなくてよい」と考えている患者さんがいるのも事実です。
しかし、有資格者となるとそうはいきません。
そもそも、施術の記録をしても誰に対しての施術かも記録できないので、施術記録としてもカルテとしても成立しません。
保険を使う場合には施術の記録が必要ですので、保険を使って施術することはできません。
もっとも、保険を使う場合には同意書などが必要なので、ある程度は分かりますが…

問題は自費の場合です。
対応策は3つあります。
1.記録を作らない。
2.名前を適当な仮名などで記録を作る。
3.施術を拒否する

この中で1と2は問題が起きる可能性があります。
条例などで施術記録の保管を定められている場合、記録なしは話になりませんし、仮名は虚偽記載とも言えます。
保健所に検査された場合に面倒臭いことになってしまうかもしれません…
面倒臭いことにならないようにするには、キチンと事情を説明して名前などを書いてもらうか、施術を拒否するしかないでしょう。
くれぐれもインチキはしないでくださいね。
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個人情報保護法の対象者

前回は個人情報保護法で定義する「個人情報」を解説しました。
今回は個人情報保護法の規制の対象者を考えてみます。


個人情報保護法では「個人情報取扱事業者」と言うものが定義されており、この「個人情報取扱事業者」が個人情報保護法の規制の対象者となります。

「個人情報取扱事業者」とはどんな事業者でしょうか?
法律では次のようになっています。
この法律において個人情報取扱事業者とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。ただし、次に掲げる者を除く。
1.国の機関
2.地方公共団体
3.独立行政法人等(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)第二条第一項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)
4.地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)
5.その取り扱う個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定める者
となっています。

この条文を読み解くポイントは2つあります。

まず、1つ目のポイント。「個人情報データベース等を事業の用に供している者」の”等”とは何でしょう?
「ウチはデータベースなんか無いので関係ない」と思っていませんか?

実は次の項に次のような規定があります。
前号に掲げるもののほか、特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの
つまり、五十音順に整理されたカルテのように特定の個人情報を容易に検索可能なように体系的に構成されていると
紙媒体でなくても、個人情報取扱事業者になるのです。

そして、次のポイント。「ただし、次に掲げる者を除く」
1~4は鍼灸院、マッサージ院ではありませんので、5の文章に注目します。
この政令は
政令第2条
法第2条第3項第5号の政令で定める者は、その事業の用に供する個人情報データベース等を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数(当該個人情報データベース等の全部又は一部が他人の作成に係る個人情報データベース等で個人情報として氏名又は住所若しくは居所(地図上又は電子計算機の映像面上において住所又は居所の所在の場所を示す表示を含む。)若しくは電話番号のみが含まれる場合であって、これを編集し、又は加工することなくその事業の用に供するときは、当該個人情報データベース等の全部又は一部を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数を除く。)の合計が過去6月以内のいずれの日においても5000を超えない者とする。

つまり、直近半年間で、個人情報を一度も5,000件以上持っていなければ個人情報取り扱い事業者でないのです。


まとめると、
データベースもしくは整理されたカルテなどで、5,000件以上の個人情報を持っていれば個人情報取り扱い事業者に該当します。
5,000件未満の情報しかなければ個人情報取り扱い事業者にはなりません。



とはいえ、鍼灸院、マッサージ院で取り扱っているのは患者さんの病気や怪我の情報です。
個人情報の中でも機微な情報と言われるものです。
患者さんの立場からすると、「施術を受けに行ったら他の人のカルテが見える状態で置いてあった」ら、もうそのお店には行きたくなくなることでしょう。
5,000件以上であろうと未満であろうと情報が漏えいすれば、お店の信用は失墜してしまいます。
個人情報保護法に触れなくても、患者さんから損害賠償を請求される可能性もあります。

自分のお店の信用を高めて、患者さんを紹介していただけるようにするためにも、情報の管理はしっかりとやりましょう。


次回は、情報の管理方法について解説します。


※ 法律の解釈については議論があります。解釈についての詳細は弁護士さんなどにご確認ください。
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個人情報って?

l_02 患者さんが来院すると、診察券やカルテに領収書など、患者さんの名前が入った書類がやり取りされます。
「個人情報」という言葉は誰しもが聞いたことがあるかと思います。

そもそも、この「個人情報」って何でしょう?
個人情報保護法(正確には「個人情報の保護に関する法律」と言います。)が出来て以来、非常によく聞く言葉になりました。
この法律では「氏名」、「生年月日」、「電話番号」が個人情報なのでしょうか?
時々、「名前や住所が入っていなければ個人情報ではない」という方もいらっしゃいますが、本当でしょうか?

実は氏名も生年月日も電話番号も「特定の個人を識別すするための情報」に用いられる情報ではありますが、これらの情報そのものが個人情報というわけではありません。
法律の条文を見てみましょう。
個人情報の保護に関する法律  (平成十五年五月三十日法律第五十七号) (中略)  第二条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。

回りくどい言い方でわかりにくいですよね。。。

しっかり読むと個人情報保護法の定義は、
  1. 生存する個人に関する情報であること。
  2. 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの。
となっています。

なので、氏名や生年月日はそのものが個人情報なのではなく、個人情報を構成する要素として氏名や生年月日があるのです。

もう少しいえば、「患者さんで名前はAさん。住所は○○市××町1-2-3で、現在Xという病気で△病院にかかっている。これまでの治療経緯と結果はこのようになっています。」という情報があったとします。
ここから「名前はAさん」という情報と「住所は○○市××町1-2-3」を抜けば個人情報ではなくなるわけではありません。
全体が個人情報で、それを構成している要素に名前や住所や病歴などがあるのです。
なので、名前や住所を伏せても、病名や病院名、治療経緯と結果で個人が特定できてしまうようであれば、これは個人情報になるのです。

よくお店のWEBサイトなどで、プライバシーポリシーを掲載されていますが、
「名前や住所の個人情報は非公開として・・・」などと書いてしまうと「このお店は個人情報が何だか分かってないな。」と思われてしまいます。

お店のWEBサイトに個人情報保護方針やプライバシーポリシーなどがあれば、一度点検してみてください。



※ 法律の解釈については議論があります。解釈についての詳細は弁護士さんなどにご確認ください。
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